お茶は、米や野菜と同じようにたくさんの品種があり、品種が作られる理由があります。

病害虫に強い茶にして、高品質や多収穫にする。

茶つみ時期が重ならないように早生品種、中生品種、晩生品種を作ることで茶生産をスムーズにする。

売れ筋の茶に仕上がるような特徴のある品種にする。(旨味成分が多い、茶の色が良いなど)

宇治茶は、覆い下の茶の特徴が出るような品種づくりがされています。

お茶を増やす2つの方法

実生

種から育てる方法です。種は、画像のように1個、2個、3個というように実の付け方が異なります。3個の実の付け方から「∴」の印が茶畑の地図記号になったようです。
国土地理院HP参照

挿し木

現在では、実生ではなく挿し木で茶の木は、増やされます。枝を切って苗木にして植える方法です。大きく育った茶の木から、元気な枝を切り取り、土に植えて根っこを出させて苗木にします。1年から2年成長した苗木は、茶畑に植えられます。
「なぜ、種からではなく、挿し木からなの?」
種から育った木は、色んな特徴がでて、栽培管理に手間がかかり、高い品質づくりの妨げになります。例えば、成長の速度が異なったり、病気や害虫の抵抗力が異なったりするので、同じ品種を挿し木で増やすことで、同じ性質の茶の木になり、栽培管理や品質が改善されます。

てん茶用品種

あさひ

概要

旧系統名 平野11号(宇治在来種選抜)
育成年 昭和29年
育成者 平野(ひらの)甚之丞(じんのじょう)氏
摘採期 中生(‘やぶきた’とほぼ同等)
樹姿 直立型で初期生育が良い
新芽 鮮緑色で、葉が薄く大きい
収量
品質 てん茶として特に優秀、出品茶用として多用される

さみどり

概要

旧系統名 小山69号(宇治在来種選抜)
育成年 昭和29年
育成者 小山(こやま)政次郎(まさじろう)氏
摘採期 中生であるが適期幅が大きい
樹姿 極直立型で手摘みしやすい
新芽 淡緑で光沢に富み、みずみずしい
収量 やや多
品質 てん茶として優秀、色沢に冴えがあり、香味に優れる

うじひかり

概要

旧系統名 京研170号
育成年 昭和29年
育成者 京都府茶業研究所
摘採期 中生(‘やぶきた’と同程度ないし2日遅い)
樹姿 やや直立で樹勢は中、株張りはやや大
新芽 やや小で葉が薄く、やや淡緑色、光沢やや小で、繊細な形状
収量
品質 てん茶として、形状はよく揃い柔らかく、色沢は明るく冴え、染まりがよい。玉露として、細くよれて締まりが良く、冴えがある。

展茗(てんみょう)

概要

旧系統名 「53-38」(さみどり自然交雑実生)
育成年 平成18年(昭和52年から選抜を開始)
育成者 京都府茶業研究所
摘採期 中生(‘さみどり’と同様‘やぶきた’より1から2日程度遅い)
樹姿 樹姿は直立型、樹勢および株張りは中
新芽 新葉は楕円、やや大、やや薄、緑色、光沢と葉質の軟らかさは‘さみどり’と同等
収量 ‘さみどり’と同等に多収で、芽重型の収量構成
品質 ‘さみどり’、‘あさひ’とほぼ同等で優れる。特に外観では染まりが良く、内質もてん茶として良好な覆い香味が付きやすい

玉露用品種

ごこう

概要

旧系統名 京研166号(宇治在来種選抜)
育成年 昭和29年
育成者 京都府茶業研究所
摘採期 中晩生(‘やぶきた’より3日遅い)
樹姿 中間型で、株張りの広がりが早い
新芽 淡緑で葉はしわが少ない
収量 ‘やぶきた’と同等で多い
品質 揮発性の特徴ある香気をもち優秀、玉露の出品茶用として多用される

うじみどり

概要

旧系統名 京研307号(宇治在来種選抜)
育成年 昭和58年
育成者 京都府茶業研究所
摘採期 中早生(‘やぶきた’より2日早い)
樹姿 中間型で初期生育が旺盛
新芽 緑色で大きさは中
収量 ‘やぶきた’と同等で多い
品質 玉露として色沢、内質ともに優れる

鳳春(ほうしゅん)

概要

旧系統名 「53-7」(さみどり自然交雑実生)
育成年 平成18年(昭和52年から選抜を開始)
育成者 京都府茶業研究所
摘採期 極早生(‘さみどり’に比べ7日程度早い)
樹姿 やや直立型、樹勢及び株張りは中
新芽 新葉は長楕円形、やや大、緑色、光沢やや少、やや軟
収量 ‘さみどり’と同等に多収で、芽数型の収量構成
品質 ‘さみどり’とほぼ同等で優れ、内質は香気が強く、新鮮みがあり香味に優れる

京都府茶奨励品種の栽培特性一覧PDF

協力:京都府茶業研究所