2022年10月号(Vol.124)HTMLメール
宇治茶の郷メールマガジン 10月号(Vol.124) |
こんにちは、宇治 茶太郎さん。
10月に入って一気に涼しくなりました。昼間の日差しも和らぎ、日が暮れると肌寒ささえ感じる時も。 … トピックス ………………………………………………………………………… … コラム「茶の記憶」……………………………………………………………… |
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今月もお京都芸術大学非常勤講師の橋本素子さんにコラムをご紹介いただきます。 「千利休と宇治茶 ―生誕500年によせて―(2)」というテーマでコラムをお寄せいただきました。 前回は、利休が永禄期(1558~1570)から、宇治茶全体の統括に関わることを行っていた可能性を紹介しました。その時期は、信長や秀吉に仕え、信長や秀吉主催の茶会の「茶堂」をつとめるよりも前の事でした。 今回は、これを受けて、利休が父の代から引き継いだ「問」(とい)業を行っていたことに目を向けたいと思います。 それを示す史料が、天正19年(1591)2月以前「千利休財産処分状」(個人蔵、小松茂美『利休の手紙』217号、345頁)の書き出しの部分です。
この財産処分状は、堺に追放された天正19年2月13日から処罰された28日の間に書かれたものとされていますが、小林茂美氏は、それ以前の老境に入ってからのものであるとされています。 いずれにしても、一行目からは、千家(田中家)は、和泉国(現在の大阪府南部)で「問」業を行っていたことが分かります。 「問」とは問丸ともいい、中世、港湾や重要都市・町に居住して、物資の管理や中継ぎ取引に従事した業者のことを言います。よって、今の問屋との違いは、運送、倉庫、委託販売業など、その業務内容が多岐にわたっていることにあります。 また千家は、堺の「会合衆」(かいごうしゅう)であったことでも知られています。会合衆は別名「納屋衆」。これも主に「問」業を行っていたことからの名前となります。「会合衆」は、豪商10名による合議機関の呼称です。このうち、千家は中クラスの構成員であり、今井宗久の「納屋」や津田宗達・宗及の「天王寺屋」が、上層クラスであると見られています。 そして、第二行目からは、同じ和泉国佐野湊(現在の泉佐野市)の問を塩魚座に貸し出しており、その賃料が銀100匁であることが分かります。これまでは、この部分と承応二年(1652)『千利休由緒書』に「売魚為業」とあるため、千家は塩魚業を商っていたとする説明が見られました。しかし一次史料からは、「問」業を行っていたことが分かるのみです。芳賀幸四郎氏は『千利休』(吉川弘文館 1963年)の中で、これらは父与兵衛の代以来の家業と推定されています。 今回は、千利休生誕500年ということで、千利休と宇治茶の関係をみていきたいと思います。 千利休は、戦国時代の大永2年(1522)生まれ。織豊期の茶人で千家流茶の湯の開祖とされています。本姓は田中、初名与四郎、号は宗易、利休は居士号(こじごう)です。和泉国堺の商家に生まれ、織田信長、豊臣秀吉につかえましたが失脚し、天正19年(1591)に死去しました。 ことに「侘茶(わびちゃ)の大成者」とされていますが、これについては異論があります。それは後にまわし、まずは利休と宇治茶の関係をみていきましょう。 利休と宇治茶のつながりをみる最初の史料が、永禄12年(1569)以前3月29日付「千利休書状」です。(今日庵蔵、小松茂美『利休の手紙』(9)小学館 1985年、30頁)大意は次のようになります。
まず、すでに永禄期には、利休は宇治茶師上林家から茶を購入していました。 次に、宛先の津田宗閑は、堺の茶人で津田宗達の弟です。津田家は宇治茶師でも森家と取引がありました。それにもかかわらず、千利休は、上林久茂から得た「霜害を受け手初めも壷詰めも延引する」という新茶の情報を、津田宗閑を通じて堺衆に伝えています。手初めとは、その年初めて茶摘みと製茶を行うことです。壺詰めは、新茶を壺に詰めることで、この時期には、手初めの約10日後以降に行われていました。以上の事から、永禄期までに、利休は宇治茶業界全体の統括をしていたのではないかとみられます。 |
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