2014年11月号(Vol.29)HTMLメール

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宇治茶の郷メールマガジン
11月号(Vol.29)
こんにちは、宇治 茶太郎さん。
秋深き宇治茶の郷より、心も潤す宇治茶の情報をお届けします。

目次

… トピックス …………………………………………………………………………
 【1】「宇治茶まつり~宇治茶の郷からおもてなしを世界に~」が開催
 【2】「宇治茶条例案」が宇治市議会で可決
 【3】「T1グランプリ in 宇治」を開催
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… 日本茶・宇治茶の世界文化遺産登録に向けて ……………………………………
 ○「宇治茶世界文化遺産講座」を開催
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… コラム「茶の記憶」………………………………………………………………
 ○第25回 橋本素子さん
  1、栄西と宇治―製茶法をめぐって―
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トピックス

【1】「宇治茶まつり~宇治茶の郷からおもてなしを世界に~」が開催

 10月5日(日)、「宇治茶」まつり消費イベント実行委員会主催で、「宇治茶」まつりを開催しました。

 台風の接近で、あいにく雨の降る天気でしたが、外国人も含め、約18,000人もの方にお越しいただき、宇治茶の魅力を楽しんでいただきました。

 府立宇治公園(塔の島・橘島)では、「ご当地キャラ」の大集合で、多くの家族連れの皆さんが集まっていただき、盛んにシャッターを切ったり、握手をしたりと人気がありました。

 また、宇治茶世界文化遺産トークショー、宇治茶スタンプラリー演劇、宇治田楽など、雨の中、魅力的なステージを披露。

 特徴ある各産地のお茶が飲める「茶産地巡り」、宇治茶を使ったスイーツ等を販売した「宇治茶スイーツコーナー」などでは、抹茶、玉露などの各産地の宇治茶やスイーツを、楽しそうに堪能されたり、
購入されたり姿がありました。

 宇治茶スタンプラリーでは、多数の親子が宇治茶にまつわるクイズにのぞみ、宇治茶の歴史・文化にふれる姿がありました。

 さらに、JR宇治駅や京阪宇治駅では、「宇治茶の手もみ体験」や「水出してん茶のふるまい」に満足した姿もありました。

 同時開催の「第63回宇治茶まつり」の「名水汲上の儀」「宇治茶行列」などでは、多くの方がシャッターを切る姿がありました。

【2】「宇治茶条例案」が宇治市議会で可決

 宇治市議会は、10月15日、「宇治茶の普及とおもてなしの心の醸成に関する条例」案を賛成多数で可決しました。

 同条例案は、近年の生活様式の多様化や飲料の種類の増加などにより、抹茶はもとより急須でお茶を淹れる習慣が薄れている中、先人たちが築き上げてきた宇治茶の伝統及び産業を守るため、市民、茶業者及び市の役割等を明らかにし、宇治茶の普及及び宇治茶によるおもてなしの心の醸成を図ることを目的としています。

【3】「T1グランプリ in 宇治」を開催

 前号で紹介しました「T1グランプリ in 宇治」ですが、チラシが完成しました。

 出場者については現在募集中(11月13日(木)締切)ですので、多数の小学生(1~3年生)の応募を待っています。

 なお、申込み用紙等はこちらから
 →http://www.kyocha.or.jp/

日本茶・宇治茶の世界文化遺産登録に向けて

○「宇治茶世界文化遺産講座」を開催

 宇治茶の世界文化遺産登録に向けて、府民や山城地域の観光客に宇治茶の文化的価値を広く伝えるため、宇治茶の魅力を伝える活動を行っている方をはじめ、取組に関心のある方(ガイド・茶農家・日本茶インストラクター・加工グループ・販売員・宇治茶の魅力を伝える活動に関心のある府民)を対象とした講座を開催しました。


【開催日時・場所】
 10月21日(火)相楽会館大ホール
         参加者:24名
 10月28日(火)宇治市産業会館第一研修室
         参加者:28名
【開催内容】
 ○「宇治茶の世界文化遺産の取組」
   説明:京都府農林水産部農政課
 ○「宇治茶の伝統と革新の歴史」
   講師:京都光華女子大学 橋本素子非常勤講師
 ○「景観を見せる/魅せる~文化的景観の伝え方~」
   講師:京都府立大学 上杉和央准教授

コラム「茶の記憶」 第25回


 前回まで4回にわたり、日本茶インストラクター協会京都府支部幹事で、宇治茶伝道師でもある林屋和男さんに、コラムを提供いただきました。

 今月からは、京都光華女子大学非常勤講師((公社)京都府茶業会議所理事 等)の橋本素子さんにコラムをご紹介いただきます。


1、栄西と宇治―製茶法をめぐって― 橋本 素子

 明庵(みょうあん)栄西(ようさい)は、これまで臨済宗の開祖にして茶祖であるとされ、茶は日本に伝えられて以来禅と共に展開するとされてきました。しかし最近の研究により、顕密(けんみつ)僧として乱れきった仏教界を禅で立て直そうとした「改革派のリーダー」であるという評価に変わっております。

 これを受けて拙稿では、宋代の喫茶文化は、日本に持ち帰られて以来、禅宗寺院で広まるのではなく、まずは顕密寺院(※)で広まったことを明らかにしました。それは、南北朝時代成立『異制庭訓往来』の「三月状」に見える茶の名産地の拠点のほとんどが、顕密寺院であることからも裏付けられます。なお第一位は栂尾高山寺で、宇治も第二位グループ6箇所のひとつとして登場しています。

 また栄西については、「抹茶」に湯を注いで飲む「点茶法(てんちゃほう)」を紹介したことに注目が行きがちです。しかしその著書『喫茶養生記』には、宋朝に茶を焙(あぶ)る様を見るに、則ち朝(あした)に摘み即ち蒸し、即ちこれを焙る。懈倦(けかん)怠慢の者はなすべからざる事なり。焙る棚には紙を敷く。紙のこげざるように火を誘い、工夫してこれを焙る。緩めず怠らず。竟夜(けいや)眠らず。夜の内に焙り畢(おわ)るべきなり。とあり、栄西が宋で実際に見た、摘採、蒸しによる殺青(さっせい)(熱を加え酸化発酵を止める)、焙炉(ほいろ)による乾燥までの製茶工程を簡潔に記しています。これは、現在の碾茶(てんちゃ)(抹茶の原料)の製造工程と比較すると、栽培方法が「露地栽培」であることを除けば同じといえます。なお、中世において茶臼で挽(ひ)くことは、消費者側が行うものでした。

 宇治では、遅くとも鎌倉末期までに、この栄西が紹介した露地栽培の「抹茶」の製茶法を受容したものと考えられます。そしてこれをベースとして、戦国時代末期には宇治オリジナルの「覆下(おおいした)栽培」による「抹茶」を発明することに成功するのです。つまり宇治にとっての栄西とは、覆下栽培の「抹茶」の前提となる、露地栽培の「抹茶」の製茶法を日本に紹介した人物であり、栄西の功績なくしては覆下栽培の「抹茶」も誕生しなかったということになります。

※顕密寺院(けんみつじいん):顕教と密教が勉強できる寺院のことで、密教を基調にする八宗(三論・成実・法相・倶舎・華厳・律の南都六宗と天台・真言の平安二宗)に属する。こちらが中世仏教界の正統である。

コラムここまで
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 □ 発行日 : 2014年11月1日
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